ある『別人』が混ざっていた
「わた、し……」
彼らが愛するもう一人
壁一面に貼られた『私』
右を見て、左を見て確認する
これもまた左右対照で飾られた私ばかり
それらは過去の私で、写真という紙に永久保存された人物だった
虫酸が走る
鳥肌がたつ
吐き気が出た
いつ撮ったのか分からない
それを言う前に写真なんて残るものを、私は彼らと撮ったりしない
バレるから
『これが俺の彼女』とか言って互いに見せられるとまずいから写真なんて今まで撮っていないのに
壁に貼られているそれらは紛れもなく見覚えがないもの
ああ、覚えなんかない
だって、どの写真も『無自覚』だから
撮られたという自覚がない
知らない内に撮られた写真は自然体に映るらしいけど
被写体にとっては薄気味悪さしか出てこない


