「茨木に一通り連絡しとけ。メディア使っての包囲網の方が効率的だってことも。四ヶ月も前じゃあ、藪(やぶ)つついても出てきやしない。
死体持っての国外逃亡は無理だからな。使えるもんは使って捕まえろ」
「は、はい。あ、じゃあ僕たちは」
「こっちは茨木に任せる。私たちには私たちのやるべき件があるだろう」
言われ、そうですねと千葉は手帳を取り出した
それを横から取り上げる国本
一瞥し、皮肉げに口を開いた
「こっちもこっちで、恋愛がらみになっちまうのかねぇ」
「やはり、逃げた後に行くのは恋人のところなんでしょうか」
「それをこれから確かめるんだ。ついてこい、千葉。事情聴取の手本を見せてやるから」
手帳に書かれていた住所を確認するなり、国本は千葉に手帳を返した
外に出る直前、一度だけ国本は惨劇があった部屋をかえりみて
「死んだ奴に何をするんだか。生きてこそ見られるもんがあるのに、な」
響いた声
こちらもやはり虚しく空気と混じり消えいく“悲しみ”であった


