今時の奴らは妙な言葉を作るな、と国本は感慨深げに
「愛しているのに傷つける。おかしいねぇ。好きなら守ってやんのが勤めだろうに。
異常者になっての愛――歪んだ愛で何が“見られる”んだか」
呟いた言葉は誰に向けてのものか
心情交えた言葉を言う国本の表情は厳しくも、どこか悲しげな色を出していた
「何のための法律だか……。人を守るためのそれやぶちまって、何が守れるのかね。
――愛してんなら笑顔にしてやれ、馬鹿どもが」
罵倒する言葉が、苛つきではなく胸を打つような感じを放つのは何故か
――愚問だった
国本が言うのは『罵倒』ではなく、『教え』だ
誰かのために言う言葉ほど、想いがこもっているものはない
第一、誰が彼に怒りを覚えよう
「愛してんなら、一言言うだけでいいんもんだ」
わざわざこんな『愛し方』をする必要はない、と威厳に満ちた顔で語られる教えは
贈る相手に届くことなく、虚しく部屋に響くだけだった


