天然店員は俺様王子



「奈々も早く行ってあげなよ。翔太が物凄い剣幕で透と昴を見てるじゃんか」


あれ絶対歯ぎしりしてるって。今にも透と昴を引き離してワンワン泣きそうだって。


「はぁ……イラつくわ。全てが」


奈々は諦めたように廊下に向かい、翔太の前でふんぞり返ってる。


ホント素直じゃない……。



「何かムカつくことでもあったの?」


廊下にいる2組のカップルを眺めているあたしにキョウが声を掛けてきたけれど、思わず肩を跳ねさせてしまった。


いつのまにか奈々が座っていた席に、目の前に、キョウがいる。


「え、あ、何で……?」

「ケツを蹴るとか……ぶふっ!!!」

「お願いだから忘れて!!!」


最悪すぎる! そんなことキョウに聞かれるなんて、笑われるなんて……これも全部アイツのせい!


ちぐさ れおのボケ!!!!


思い出すだけでイライラするのは本当なのに、キョウが目の前で笑ってるのを見ているとバカらしくなってくる。


はあ……。キョウの笑顔って、α派出てるよ絶対。


「ん。仲直りしたかな」


キョウの言葉に廊下を見ると、翔太が透とハイタッチして喜んでいた。


どっちかと言うと翔太が尋常じゃなく喜んでる感じだけど。


「行こう瑠雨。昼飯まだでしょ?」

「えっ! いや、あたしはっ」


遠慮しようと思ったのにキョウはそうさせてくれない。


あたしの手首を掴んで「いいからおいで」と立ち上がった。