「あぁ、うん。奈々に用事」
「私?」
「正しくは俺じゃなくて……」
キョウが振り向いた先を見ると、こちらに背を向けて廊下に立つ人影があった。
「あれって翔太じゃん」
「奈々に謝りに来たんだね!?」
「気持ち悪いわ」
「ぶふっ!!! ……まぁまぁ。翔太も折れたんだからさ、奈々もちょっと折れてやってよ」
ニコリと笑うキョウに、奈々は不服そうにしながらも立ち上がる。
奈々を動かすなんて、さすがキョウ。
「面倒だわ」
「もー奈々! 翔太がせっかく来たんだよ!? 素直にならないとダメッ!!!」
「お黙り透」
「なぁぁんでぇぇー!?」
「……あ、透。昴じゃない?」
翔太の隣に見えた人影にそう言うと、透は「え!?」と勢い良く廊下へ顔を向ける。
遠慮がちにピョコッと教室を覗くのは、紛れもなく学校の王子で透の彼氏だった。
「トールッ」
「ハイ今すぐにーーー!!!」
透はあたしの膝から降りると、猛スピードで廊下に立つ昴へ抱き付きに行く。
ハァハァという荒い息まで聞こえてきそうなほど透は興奮しているというのに、昴は気味悪がるどころかふにゃけた笑顔しか見せない。
「「バカップル」」
あたしと奈々がハモると、キョウは遠慮なく吹き出した。その姿を横目で見てから、奈々へ視線を映す。



