天然店員は俺様王子



奈々は昔から透以外には猫を被ってて、初めて素を見せた男が1個上の翔太だったらしい。


ふたりが付き合うまでの経緯を透から聞いたことはあったけど、好きなくせに、奈々は24時間365日天の邪鬼。


「な、奈々……多分翔太が悪いんじゃなくて、昴が言い忘れてたんだと思います……」


あたしの膝の上で震えながら、多分真実であろうことを告げる透。


「分かってるわよそんなの。昴に、頭カチ割られたいの?って伝えといてちょうだい」

「あたしが謝るから昴をイジメないでぇえええ!!!」


昴もまた、1個上の透の彼氏。学校一のモテ男で、日米ハーフの彼についたあだ名は王子。


付き合って8ヶ月らしいけど、自他共に認める、お互いがお互いに夢中のバカップル。


「それで? 瑠雨はレオの家にいつ泊まったの?」

「昴をイジメないって約束してぇえええ!!!」

「約束守ったことないわよ」

「ヒィ! 鬼っ!」


シクシク泣き始めた透をあやしながら、完全に狙いをあたしに定めた奈々から逃げる方法を考える。


無駄だと分かっているから、すぐに話してしまうけれど。


「えーっと……金曜の夜? 翔太のイベントの帰りにコンビニで会っただけ。ちなみに隼人もいたから」

「ああ。隼人に誘われたとかそんなとこかしら?」

「まぁ、最初はそうだったけど……」


あたしはあの夜あったことを話した。