天然店員は俺様王子



「ことの発端は何なの?」

「…………」


まだ殴った前提? まぁ殴る予定はあるからいいけど。


ことの発端……翔太のイベントの帰りに……。


「変態の家に泊まったのがそもそもの間違いだった」


説明が面倒になったあたしはそれだけ告げて、授業が終わったばかりの教室に後ろのドアから入った。


「泊まったぁぁあああああ!?」


透の叫び声にクラスメートが一斉に振り向き、視線という視線が突き刺さる。


……透のボケ。


「ちょ、何で!? 泊まったって、えぇえええ!?」


廊下で騒ぐ透を無視して自分の席に向かうけれど、どこからか「彼氏でも出来たのかな?」なんて声が聞こえて消えたくなる。


「おはよう瑠雨。今日もいいお天気ね」


めちゃくちゃ曇ってるのにそう声を掛けてきたのは、あたしの2つ前の席に座る校内一の美少女、奈々。


胸下まである黒髪は毛先にウェーブがかかっていて、雪みたいに真っ白な肌。


見た目は本当に清楚なお嬢様。でも中身は腹黒いったらない。


「何だか面白い話を持ってるみたいね? ぜひ聞きたいわ」


人の不幸が大好物すぎて、曇りなのに晴れに見えちゃうほどには危険人物。