「ごちそーさま」


ボッ!と赤くなる瑠雨にもう一度微笑みかけて、開けっ放しのドアを閉めた。


……舐めただけで赤くなるなんて、男経験ねぇのか?


「…………」


ウィーンと助手席の窓を開けると、怒りで震えてるのか恥ずかしくて震えてるのか分からない瑠雨が俺を睨み続けている。


「言ったろ。跪かせてやるって」

「~っ誰が! アンタ、ホンットにムカつく!」

やっぱ経験少ない方っぽいな。まあ多いよりは少ないほうが、楽しめそうだけど。


想像するだけでワクワクしてきて、口の端が上がらずにはいられない。


「復讐しようなんて、考えんなよ?」

「こんなことして……っ絶対痛い目合わせてやるかんな!!!」


おーおー……上等。そう来ると思ったよ。


「もうひとりで夜道歩くんじゃねぇぞ。じゃーな」


窓が閉まっていく中、瑠雨が怒りに任せて叫んだ。


「覚えてろよ変態!!!」


横目で瑠雨を見ながら左手を上げ、車を発進させた。



「覚えてろ変態、ねぇ……」


変態は余計だが、今はそんなこと気にならないくらい高揚感が治まらなかった。


不躾な野良猫を従順な飼い猫にするには、どうすべきか。


考えなくても向こうからやってきてくれるなら、それを利用しない手はないだろ。



復讐、お待ちしてますよ?


俺の力が発揮されるパスタ専門店、-mia-でな。