「っだようるせぇな! バイトに遅刻させる気か! 早く来いっ」
「は?」
「は?じゃねぇ! さっさと車乗れ!」
「……何で?」
我慢ならねぇ……。
俺は早足で瑠雨のもとへ行き、ライダースの襟を掴んで歩き出す。
「ちょ……っ何すんだよ!!! 離せっ」
車にキーを向けてハザードランプが点滅したのを確認してから、瑠雨を助手席に放り込む。
「何!?」と振り向いたと同時にドアを閉めたら、ゴン!!と窓に頭をぶつけた瑠雨に合掌。
……アホだな。
運転席に乗り込むと、瑠雨は額を押さえてムスッとしてる。
「シートベルトしろよ」
構わずエンジンを掛けてアクセルを踏みながら促すと、勢い良くシートベルトをしてそっぽを向かれた。
……何なんだコイツは。
「何なのアンタ」
え。かなり俺のセリフ。
「意味分かんない」
それも俺が言いたいんですが。
「つーか道案内しろよ。お前の家なんか知らねぇよ」
「じゃあ何で送るわけ!? 次右っ!」
言うの遅ぇぇええ!!!
素早くサイドミラーで後方を確認してから、右折車線に入る。
早速赤信号に引っ掛かり、聞けばどうやらコンビニの近くに住んでいるらしかった。



