「はー…………ホンット可愛げのねぇ女」


長い溜め息をついて髪をグシャっと握り、エレベーターまで歩き出す。


パンプスの音が聞こえる限り瑠雨も後ろに付いて来ているんだろうけど、俺は不満でしょうがない。


つまんねぇ。心の底からつまんねーっ!! 何この手応えの無さ。

この、オ、レ、がっ! 心配してやったのに!? まぁ嘘ですけど! 演技ってバレたけど!?


ちょっとくらい『大丈夫だよ~ありがとっ』とか女らしく言えねぇのか。


いや言われてもキャラじゃないから困るけど『うん、平気』くらい言ってみやがれ。


「……何してんの」


エレベーターに乗ろうととしない瑠雨に声を掛けると、ムカつく言葉。


「……先に行けば」


何ソレ自意識過剰? 俺と密室は無理って? てか何微妙に不機嫌になってんの?


「ガキ」

「なっ! ~~っ乗るわよ! 乗ればいいんでしょ!!」


そう言われた瞬間に閉ボタンを連打すれば、瑠雨が踏み込んだ瞬間ドアが閉まり、瑠雨はビクッと体を揺らしてドアを両手で支えた。