天然店員は俺様王子



「もうあたし帰る!!」


風呂から出て来るなり鬼の形相でそう言った瑠雨。


先程のふたりの喧嘩がめんどくさくなった俺は、瑠雨に風呂へ入るよう促していた。


ついでに隼人にも、コーラーまみれのキッチンを掃除してもらった代わりにパーカーを返していた。


「じゃあ俺も帰っかなー。ちぃもそろそろバイト行く時間じゃね?」

「あー?」


チラリと時計ではなく瑠雨を見れば、部屋の隅に置いていた鞄の中身を確認している。


「……ダリー」


今日もオッサンに会わなきゃいけねぇとか……鬱。しかも瑠雨に対して何の手ごたえも感じてねぇし。


ハーッと長い溜め息をついた俺は気怠い体を起こして、部屋を出た。


「――ミカッ! もしもし!?」


玄関のドアを閉めたところで、隼人に彼女から電話が掛かる。


「勉強は? ……マジ? そんなに俺に逢いてぇの?」

「気色ワリィ。召されろヘタレ」

「黙っとけよちぃぃい!!!」


隼人は彼女にベタ惚れ。


付き合って結構長い気がするけど、どうすればそんなデレデレした顔を維持できるのか、知りたくもねぇ。