天然店員は俺様王子



「あー疲れた」

「おまっ! 運転中に移動すんなよ危ねぇなっ!!」


俺は後部座席から助手席へ移動して、深々と革張りのシートへもたれ掛かる。


「困ったもんだよね~。変態には気をつけろって言ったのにさ? まんまと餌食になっちゃって……瑠雨ちゃんってマヌケなんだねっ」


ニコッと笑顔を作って後ろを振り向くと、悔しそうに俺を睨む瑠雨。


「俺がいて良かったね?」


本気で悔しいのか下唇を噛んで俯く瑠雨に、俺は構わず笑顔を向ける。


この生意気なガキを手懐ける為。反抗心丸出しの野良猫を、飼い慣らす為にな。



「あの場に俺がいなかったらゾッとするよねぇ~」

「ちぃ。あんまイジメんなよ」

「黙って運転してろ。俺の愛車に傷ひとつでも付けてみろ。全裸で接客させっぞ」

「嫌だわ! つぅかそれ捕まるかんな!?」

「No.2の裸なら喜ぶだろ。無論オッサンが」

「店長かよ!!!」


他に誰がいんだよ。ヘタレの裸なんて誰も見たくねぇっつの。