天然店員は俺様王子




うっすら濡れた瞳が俺に助けを求めた。


込み上げた高揚感に口の端を上げて、ドルンッと車のエンジンをかける。


「隼人」

「かぁっこいー!!!」

「ウゼェッ!!」


隼人を一発殴ってから運転席のドアを開けた。


「離せよ!」

「はいはい。いい加減諦めろっつーの」


下品に笑う男4人の姿に何とも言えない感情が湧きあがる。


無勢に多勢っつーか、4人掛かりでひとりの女も落とせねぇなんて底が知れてんな。


ぽりぽりと首の裏を掻きながら、ブーツを前に進める。


「――おい。そこの底辺野郎共」


一応声を掛ける俺って優しすぎて目眩するわー。


まあ声を掛けたところで俺の勝利に何の不具合も生じないあたり、申し訳ないけど。