天然店員は俺様王子



「開ーけーろー!」と喚く隼人を無視して再び外へ視線を向ければ、のびていた奴が起き上がり、瑠雨は4人がかりで引っ張られ始めていた。


その先に視線を移せば、フルスモークの黒光りするバンが一台。


あーあ……。これ完全に危ねぇな。だから気を付けろって言ったのに。


自業自得だよな? きっと後悔してるよな?


こんな奴らに拉致られるくらいなら、あの時クソ野郎についてけば良かったー!ってな?


そのクソ野郎が、キモイ変態が今ここにいますけど?


早くしねぇと、俺マジで帰りますけど?


気付いてんだろ。


視界に入れないだけで、関わりたくないだけで、本当は気付いてんだろ。


どうするわけ? そのまま拉致られんの?


嫌だよなぁ? そんなの。


プライド崩すか、自分で自分の身を守るか、どっちが賢い選択か分かるだろ?



――ほら。言えよ。訴えろよ。



助けて、ってな。