昨日殴られた口元がジクリと痛む。


おかげさまで青タン出来たっつーの。口の中切れたっつーの。


「……来いよ、瑠雨」


イジメてやんよ。


「喋んなクソ野郎」


むーかーつーくー!!!


瑠雨は外したサングラスを胸元のネックレスに掛け、フンッと顔を逸らした。


「行くぞ隼人」

「は? いいのかよ。せめて送ってやれよ」

「何で俺が。こんな夜中に出歩いて、変態に狙われても自業自得じゃねぇの」

「……アンタが変態だっつうの」


ボソッと言ってっけど聞こえてんだよ!


車に向けていた足を瑠雨に戻し、目の前まで詰め寄り見下ろせば間髪いれず「視界に入んな」と言われる。


「あのな、俺はクソ野郎でも変態でもねぇんだよ。千草 麗桜!」

「あっち行け」


このガキャァ……。