「ちぃって毎回コンビニ寄るよな」
何も告げずに帰り道の途中にあるコンビニへ寄ると、隼人がシートベルトを外しながら言う。
「習慣だよ、習慣」
「あー分かる。俺も特に欲しいもんないのに寄っちゃうんだよな~」
車から降りて馴染みのコンビニへ入り、欲しい物を頭の中で反芻した。
「隼人カゴ持て」
「はぁ? ……ったく。はいはい」
緑色の買い物カゴを隼人に持たせて、次々と物を入れていく。
深夜1時を前にしても、街に近いコンビニは人の出入りが激しい。
「ちぃちぃ! さきイカ食いてぇ!」
「勝手に食えよイカ野郎」
膝カックンしてきた隼人の髪を全抜きしてやろうとした時、ひとりの客が来店した。
色白で華奢な体に黒いミニワンピースを纏って、青いライダースジャケットを羽織ってる。
小顔によく似合う、ブラウンのサングラスを掛けた女だった。
何やってんだアイツ……。
長く黒い髪から赤と金と緑のメッシュを靡かせて颯爽と歩く女。
紛れもない、瑠雨の姿だった。



