「はぁー? そんで落とそうってか? 俺知ってるぜ、瑠雨のこと」
閉店後の片付けをしながら昨日あったことを隼人に話すと、眉間にシワを寄せられた。
「いや無理だろ~! 瑠雨とは数えるくらいしか会ったことねぇけど、ちぃは瑠雨のタイプじゃねぇよ」
「タイプなんてのは恋愛するためのオプションだろ。関係ねぇよ」
「お前何か黒いよ……」
さりげなく俺と距離をとる隼人に、テーブルを拭いていた雑巾を投げると見事顔面にヒットする。
「っにすんだよちぃ!」
「俺、ネコ派」
「はぁ? 俺はイヌ派だけど」
ベタベタくっ付いて甘えてくる女より、ツンとしてプライド高い女の方が好みだ。
極力俺と接点を持とうとしない、何かを期待する目ではなく冷めた目を向けてくるような。
そんな女が俺に落ちた瞬間を考えただけでゾクゾクしねぇ?
イジメたくなんだよ。瑠雨みたいな、女は。



