「レーーーオーーッッ!!!」

「――っ!」


スタッフルームに入った瞬間、目にも止まらぬ速さで気食悪い生き物に抱き付かれた。


途端に寒イボがブワワッ!と全身に浮き出る。



「俺に触るんじゃねえぇぇえ!!!」

「メス犬の毒牙からよく逃れたわねー!! エラいわ! 素敵! 結婚してっ!」

「テメェは存在するだけで毒なんだよ離れろ!!」


生ぬるい温度と嗅ぎたくもない香水の匂いを纏う毒人間を突き飛ばすと、潤んだ瞳が向けられた。


「何よレオのいけず! でもそこが好き……っ」


目を潤ませ頬を染めるのは、ただのオッサン。もとい、ここ-mia-の店長兼オーナー。


指名制があるのはほかの誰でもなく、このオッサンの完全趣味。


……コイツさえいなきゃ俺は平和に何の心配もなく、毎月毎月NO.1を取りにバイトするだけだっつーのに。