天然店員は俺様王子




「もう喋んな」

「……麗桜が言えって言ったんじゃん」

「言わせたかったけど、先に言われたら何かムカつく」

「何それ……わがまま」


俺の胸でクスクス笑う瑠雨が愛しくて、抱き締める腕に力を込めた。


俺ばっかドキドキしてんじゃねぇかって思う。


瑠雨は恥ずかしがるくせに、吹っ切れたら何の躊躇いもなく俺に向かってくるから。


ムカつく。


やられてばっかじゃ、終われねぇ。




「瑠雨はずっと俺の飼い猫な」

「……猫扱いすんな」

「ずっと俺のそばで、笑ってろ。飼い主のそばにいんのは当たり前だからな」

「……猫に例えないでよ」

「瑠雨を飼い慣らせる男なんて、俺しかいねぇだろ」


瑠雨の頭に顔を乗せて鼻で笑うと、バシッと背中に回された手が俺を叩いた。


俺も瑠雨も、他の誰かなんて、考えられねぇだろ?



「合い鍵、何でやったのか教えやるよ」


ギュッと抱き締めて、瑠雨の首に顔を埋めて、耳元で囁く。