天然店員は俺様王子



ドリンクをグラスに注いでトレーに乗せてホールに戻ると、瑠雨は泣き止んで透たちと笑いあっていた。


俺に気付くと、少し赤くなった目を細めて笑う。



「ふ。泣き虫」

「なっ!! うるさいっ!!」

「そんなに嬉しかったかー。いやぁ、泣くほど喜んでもらえて良かったわー」


そう言ってる間に瑠雨はバシバシと俺の腕を叩いてくる。否定も肯定もせず、眉を寄せて頬を染めながら。


俺もそれ以上何も言わず、瑠雨の頭を一撫でして隼人たちとの団欒に戻った。



そのあとも瑠雨は透たちと騒いで、ずっと笑って、幸せそうにしていた。


俺は混ざることもなくただその姿を見つめて目に焼き付ける。



きっと瑠雨は友達に囲まれて誕生日を過ごしたのは、初めてなんだと分かっていたから、-mia-にいる間俺は特に絡まずにいた。



時たま瑠雨が俺を見て笑ってくれる。

それで充分だし、何より瑠雨が楽しいなら俺も楽しい、とか思ったり。



そんなことを思う自分に可笑しくなりながら、パーティーが終わるまで瑠雨の笑顔を見つめていた。