「抜けた! 切れたよ!? 今ブチブチィッて有り得ない音したんですけどぉぉお!?」
「ハゲろヘタレロン毛」
「隼人うるさいっ」
「テメェ透! 何っで俺が怒られんだよ! 慰められるべきは誰!? 俺……っはいすいません!!!」
再び襟足を掴んだ俺に全力で謝るヘタレ。
マジでハゲればいーのに。
俺はデニムのポケットに手を突っ込んで、瑠雨の前まで詰め寄る。
「言っとくけど期待すんなよ? 金も大して掛かってねぇし」
座ってる瑠雨を見下ろしながら言うと、何だろうと考え出した様子。
俺はポケットから手を出して、拳を握ったまま瑠雨の顔の前に差し出す。
瑠雨が拳の下に手を添えたのを確認して、開いた。
「ハッピーバースデー、瑠雨」
ポトッと手に落ちてきたプレゼントを見て、瑠雨は目を見開いた。
微動だにしない瑠雨を見つめたままでいると、グレーの瞳がユラユラと揺れ始める。



