「白いブレザーなんて嫌だって言ったら、目立つからいいじゃんって。いつかお前を受け入れてくれる奴が、見つけやすいようにって。無茶ぶり言われて、押し付けられた」
本当は、嬉しかったけど。
おにぃの言葉を信じたら、あたしは透たちに見付けてもらえた。
それに、ブレザーのことで西郡と抗論になった時、麗桜への気持ちに気付いたしね。
「ふーん? いい兄貴じゃん」
そう言って立ち上がった麗桜は、通りすがりにあたしの頭を撫でてキッチンへ向かった。
なんてことないその仕草に、胸が締め付けられる。
――いい兄貴じゃん、だってさ。
あたしがまだ西郡に言われた言葉を気にしてると思ったのかな。
きっと本当におにぃを良く思ってくれて、それをあたしに伝えてくれたのかもしれない。
麗桜は、不意に優しさを見せる天才なんだろうか。
何気ないところで優しさを見せる、気配り屋。何も言わなくても、ふとしたところでいつも優しい。
「おら」
今だってミルクティーを持って来てくれる。
「腹減らね?」って自分の主張をしているようで、あたしがお腹空いてないか気に掛けてる。



