「頼まれてもないのに第三者の貴女が文句を言いに来るのは失礼よ。むしろ貴女の後輩の想いを侮辱したんじゃなくて?」
オッサンの話に、瑠雨は口を噤んで悔しそうに俺を睨んでくる。
「……ただ貴女の気持ちは分からないでもないから、レオを殴ったことはチャラにしてあげるわ。分かったのなら帰りなさい。それとも食べて行くかしら?」
「――っうるさい! だから大人は嫌いなんだよっ……まるで自分だけが正しいみたいに、理論的にしか物事を考えなくて、人の気持ちを何だと思ってんだよ!!」
「る、瑠雨………」
ずっと黙っていた透が眉を下げて声を掛けるが、瑠雨はギロリと俺を睨んだ。
「アンタのどこに惹かれたのか全然理解出来ない」
「いつも笑顔なとこと、優しくて気取ってないとこらしいけど?」
「ひとつもあってないじゃん! 嘘臭い笑顔で!! 鬼畜で!! 思っきし気取ってるだろーが!!」
む、むかついてきた……。
「この変態ナルシスト!!」と吐き捨てるように怒る瑠雨に、俺の怒りボルテージが急上昇。
「あんたのどこが王子だっつーの!!! 鳥肌立つ……っ」
「言ってくれるじゃねぇか。あ?」
瑠雨の顎を人差し指でクイッと持ち上げ、顔を近付ける。
固まってしまった瑠雨に、悪戯に笑って見せた。



