「そういやさ、あの瑠雨の後輩って俺らが付き合ったこと知ってんの?」
ある日の晴れた休日。
昼下がりの麗桜の部屋に、あたしはいた。
ソファーを背もたれにしてファッション雑誌を眺めてる麗桜を、ジーッと見つめる。
「……聞いてんのかよ。目潰しすっぞ」
「は? 何? 目潰し?」
麗桜は怪訝そうにあたしを見ると、手に持っていた雑誌を閉じてテーブルに置いた。
「だから、お前の後輩。俺らが付き合ったこと知ってんのかって」
あたしの後輩……?
「あぁ! 知ってるよ。ていうか麗桜にフラレて、すぐどっかの店員に恋して乗り換えたよ」
「……あっそう。ならいいけど」
「…………」
コンポのリモコンを取って、流す曲を決めている麗桜の横顔を見ながら思う。
もしや心配してた?
「何ニヤけてんの」
軽快なレゲエが流れだした部屋で、あたしはつい頬が緩んでしまった。



