天然店員は俺様王子



「店長ーー!!! いたんですか!? ごめんなさいっ! ワザとじゃないんだよっ!?」


くるりと振り向いて、床に倒れたオッサンの顔を心底申し訳なさそうに覗き込んだ。


「麗桜……アンタいっつもそんなことしてんの……?」

「うんっ! 俺ガンバッて働いてるでしょっ?」


キラキラの笑顔を瑠雨に向けると、瑠雨は泣いてるオッサンを見下ろして「可哀想に」とだけ言った。


ヘタレにオッサン、今日のところはこれくらいにしといてやんよ。



「じゃあ、俺ら帰るから。ごゆっくり~」


ポカンとしている透たちに笑顔を向けると、透が「帰っちゃうの?」とつまらなそうに口を尖らせる。


「その様子じゃうまくいったみたいね」

「っえ! ホント!? 奈々がいうなら間違いないね! 良かったね瑠雨ーーっ!!!」


手足を忙しなく動かしてハシャぐ透を横目に瑠雨を見ると、恥ずかしそうに頷いている。


ちらりとキョウを盗み見れば、目が合って微笑まれた。


……なんだよ。お前、失恋したってことだぞ。

まぁ、諦めてくれたんならいいけど……何で笑ってられんだ?



「――行くぞ瑠雨」

「え、ちょ……えっと、また学校で!」

「バイバーイッ!」


ニヤニヤする透たちを背に、ホールを突っ切って駐車場に向かう。