「おいガキ。俺はな、-mia-のスタッフなんだよ。客がいて初めてスタッフになんだよ」
「だから何だよ!」
「-mia-の三箇条。1に笑顔、2に優しさ、3に気配り。俺はそれを守ってるだけなんですけど?」
「アンタのどっこが優しくて気配り出来てんだよ! 胡散臭い笑顔しやがって!!」
「-mia-ではスタッフの顔してんだよ! そんな俺を好きだ? 何も知らねぇくせに冗談じゃねぇ。客は客でしかねぇんだよ」
「好きになんのに客もスタッフも関係ねぇっつってんだよ!」
腕を組んで立つ俺に今にも掴みかかってきそうな女を押さえながら、透がハラハラしている。
一体何なんだ、コイツ。
「お前さぁ……バイトしたことねぇの? 客に好きって言われて、迷惑だろーが」
「迷惑!? アンッタ……フリ方だけじゃなくて性格まで最悪だな!! あたしはアンタより誠意持って答える!!」
「バカも休み休み言え。断り方に良いも悪いもねぇだろ。結局フラれることには変わりないんだし」
「バカはテメェだクソ男! 人情の欠片もねぇな! 欠陥人間! 冷酷! 鬼! 悪魔っ!!!」
この減らず口が……!
だから嫌なんだよ。感情のままに突っ走って、周りに迷惑を掛けてもお構いなし。
ガキは、嫌いだ。



