「行くわよ隼人っ」

「んじゃっ! 俺はちぃがいない内にNo.1の座を奪ってくるかなーっ!!!」


何メルヘンなこと言ってんだヘタレ。お前なんて俺がいなくても永久に万年2位キャラって決まってんだよ。


心の中で悪態をついている間にオッサンと隼人はスタッフルームを出て行き、俺と瑠雨ふたりきりになった。




「「…………」」


黙ったままでいると、瑠雨はテーブルに置いてあった救急箱を手にソファーへ腰掛ける。



「麗桜も座って」


ソファーの側面に寄りかかっていた俺の背後から座るよう促す瑠雨はどこか気まずそうに言った。


「いいって。お前も食ってこいよ」


別に飯食ったあとでもふたりきりになれる。


それに、オッサンや隼人たちの思惑にハマってやるのも、やっぱ気に食わねーし……。


「いいから、手当てさせて」

「…………」


ちらりと盗み見るように振り向くと瑠雨があまりにも真っ直ぐ見つめてくるものだから、俺は黙ってソファーへ移動した。