騒ぐ奴らを傍観していると視線を感じ、横を向けば瑠雨と目が合った。


慌てて視線を逸らす瑠雨に眉を寄せていると、奈々が聞こえるように溜め息をつく。


「いいから早く行くわよお猿さんたち。ほんと騒がしいんだから」

「ねぇ奈々? それはあたしを筆頭にしてる?」

「透が小猿じゃなかったら何になるのかしら。ミジンコ?」


口を開けて白目を剥いた透に構わず、奈々は俺を見て微笑んでくる。


「ほら行くわよ」


奈々は意味深な笑みを見せながらも俺に声を掛けて来ることはなく、透たちをホールに促す。


「レオは手当てしてもらいなさいね~っ」

「あ?」

「もちろんしてあげるわよねぇ? 瑠雨?」


オッサンは握った両手を顔の横に添えて笑う。


隣に立っている瑠雨を見ると、顔を背けたままで顔が見えなかった。