「助手席はレオだからね! アンタは絶対っ後部座席!!!」

「黙れオッサン」


麗桜は言いながら自分の車に乗ってるキョウを見て、親指で助手席を指差した。


「キョウは助手席に移動。昴と透はそのままでいーから。隼人、少しでもボディ擦ったらぶっ飛ばす」


麗桜はそれだけ言って、怯える隼人に目もくれず歩き出す。


「帰んぞ」


さっさと歩く麗桜の背中を見ながら、あたしは思っていた。



「勝利の悪魔だね」

「……キョウ」


振り向くと、後部座席から出て来たキョウが立っていた。



「ちぃ君がいると勝てるけど、あんな大人数容赦なく倒したり、警察官欺くなんて、女神ってより悪魔だよね」

「ははっ! あたしも今同じこと思ってた。……でも裏を返せば、全部麗桜が優しいからだって分かる」


そう言って再び麗桜を見たあたしは、その背中を追いかけるために駆け出した。