天然店員は俺様王子



「……それよりお前、何人か殴っただろ。アホか。イテェくせに無茶しやがって。手首壊れんぞ」


麗桜があたしの右手に触れて、持ち上げた。


「痛くない……」


そう言ったあたしを、麗桜は眉を下げて見下ろす。


「……口ん中切れてんじゃねぇの、コレ」


温かい手が頬に触れて、躊躇いがちに撫でる。


平手打ちされたって分かるくらい赤いのかな……。


「痛いよな」


ジワリジワリと、麗桜の顔がぼやけていく。


「痛く……ないってば……」


あたしの怪我なんてどうでもいい。


麗桜のほうが痛いに決まってるのに。



「麗桜のほうが、よっぽど……っ」

「どーってことねぇよ。こんなの」


ボロボロ落ちる涙を、麗桜は困ったように指で拭ってくれた。