天然店員は俺様王子




叫んだのとほぼ同時に、麗桜は鉄パイプを持った男のそれを引っ張り、よろけた男の顔面にひざ蹴りを喰らわせた。



そこからはもう何が何だか分からないほど、麗桜は次と次と男たちをなぎ倒していった。


呆気ないほど早く、俊敏に立ち回って。


気付いたた時には全ての男が地面に這いつくばっていた。



その無残な場所に唯一麗桜だけが立っていて、少し咳き込んだのが聞こえたことで我に返り、慌てて車から出る。



「麗桜っ! 麗……っ」


駆け寄る足を麗桜の前で止めて、グッと唇を結ぶ。ついでに眉も思いきり寄せた。


……ボロボロだ。


………ごめん、麗桜……ごめん……。



「……何で泣くんだよ」


だって、だって……額から、血が出てる。


「びょ……病院……っ」

「はあ? 別にいいって」

「良くなっ……絶った、痛、……っ……ごめっ…」

「何言ってるか分かんねぇから泣きやめ!」

「あっ、あたしのせいで……っごめん……」

「はあ!? お前のせいじゃねぇっつーの!!! 泣くなウゼェからっ」


また嘘ばっかり。


そんな優しい嘘で、泣きやむと思わないでよ。