天然店員は俺様王子



「んな簡単に解放すっと思うんじゃねぇよ!!」


近くにいた男にグッ拳を握った時「待て!」と一際大きいきい声がして、向かってきた男はピタッと止まる。


見ると、透に股関を蹴られた男が腕を組んで立っていた。



多分、この男たちのリーダー的な存在ってとこか……知らないけど。


あたしたちを路地に連れ込んでからというもの、ずっとニヤニヤして傍観に徹していたあたり、予想はしていた。


図体ばかりデカく、スキンヘッドでストB系の服。


どこにでもいそうな顔をしてるけど、表情とか雰囲気とか、全体的に無理。生理的に受け付けない。


このボス猿の周りの男たちも同様だ。



「逃がしてやろうか? お友達さんをよぉ」

「……頼んでねぇよハゲ。あたしは、ダセェことしてんじゃねぇって言ってんだよ」


ボス猿の眉がピクッと動いたのを見て、あたしは嘲笑った。


「アンタら、人質取った気分になって優越感に浸ってるんだろうけど、人質取らなきゃ何も出来ない腰ぬけなんですーって主張されてるみたいで、笑えるわ」

「……じゃあお前がひとり、俺らを相手にすんだろぉな?」

「――瑠雨っ! そんなの絶対ダメだからね!?」


透が声を張り上げても、あたしは聞く耳を持たない。