天然店員は俺様王子



「はじめまして」


ニコリと笑うと、少し警戒を滲ませた目で見返された。


「どーも……」


何か違和感を感じたのは、切れ長の目にグレーのカラコンが入っているせいか。


……まあ、美人だとは思うけど透の知り合いって何でこう、個性的なやつが多いんだか。



「透より綺麗な子だね」

「ちょっとちぃ君!? そりゃあたしは瑠雨とか奈々みたいに綺麗じゃないけどもっ!」

「……ちぃ?」


ふと瑠雨が聞き返してきたので、これでもかとばかりに笑顔を向けた。


「俺のあだ名だよ~。瑠雨ちゃんも、ちぃって呼んでくれると嬉しいなぁ」


おおおおお寒い。自分で言っといてドン引きだわ。


それでも-mia-で鍛えた営業スマイルや喋り方に落ち度などあるはずがなかった――はずなのに。


今まで向けられた記憶すらない冷めた視線が俺を突き刺した。