「――来なくね?」
ホールで待機してる俺の不満は、むなしく宙に消える。無論独り言なんで。
9時過ぎましたけども。ぶっちゃけ9時前からソワソワしてましたけど。
「ちぃー。休憩入んべー」
うっせーよひとりでハムでも食ってろ。俺は瑠雨が来たら休憩入んだよボケが。
「ぎゃっははっ!! 何!? もしやむつけてんの!?」
「わぁ! 隼人って体鍛えてるだけあるねーっ」
「イダダダダダ!!!!」
ニコニコと笑う俺は隼人の腕を掴む。そりゃもう折ってやるかぐらいに。
「9時ぐらいだって言っただろ! 時間通り来るわけじゃなくね!?」
「ハムにされてぇのか」
ボソッと悪態をついて隼人の腕を離した時。
──チリン……と鳴る、新しい客が来た合図。
「「いらっしゃいませーっ!」」
反射的に俺と隼人は笑顔で-mia-の入り口へ顔を向ける。
「こんばんわーっ」
そこには頬を染めるふたりのOLがいた。



