天然店員は俺様王子



「「「っきゃーーーー!!!」」」


ホールに入ると、とんでもねぇくらいデカい悲鳴が耳に入る。


「ちぃくん久しぶりー!!!」

「こっち向いてーっ!」

「やばい超カッコイイ!」


ここはコンサート会場か。俺はアイドルですか。なんて言わずに、ニッコリ笑って手を振る。


バタンッ!ドタッ!とテーブルに倒れ込む音があちこちから聞こえ、俺は銀色のトレーを持ってキッチンの受取口に向かう。



「指名何番テーブルですかー?」


キッチンスタッフに声を掛けると、ドンッと受取口に並べられる出来たてのパスタ。


「ちぃ君はー……1~5番まで。とりあえずね」


とりあえずかよ。

まぁ、人気No.1を張るにはそれくらいじゃないと困るけど。


「了解でーすっ」


1番テーブルの注文品をトレーに乗せると、隼人もホールに入ってきた。



ザワザワと色めき立つ-mia-。


財布を潤す時給の良さとか、暇を持て余すこともない忙しい業務を抜きにしても、何だかんだ、俺は-mia-が好きなんだと思う。


俺がここで働いてるのは、多分それだけの理由。