天然店員は俺様王子



「……ふーん」

「おやおや~? キョウもいるからってヤキモチですか? ちぃく~ん」

「あ゙ぁ゙?」

「すいませんすいませんマジ調子ノッてすいません」


隼人に突き出したフォークをサラダに刺して、そのまま口に運び、壁に掛かってる時計を見る。


あと大体2時間半後……9時頃なら、ちょうど休憩時間だな。



「ところでちぃ君? そのサラダは、俺のだよな?」

「あ? ああ、そうだけど。もういらねぇからどーぞ」


生ハムがなくなったシーザーサラダを隼人の前に差し出して、立ち上がる。


「生ハムはぁぁああ!? ハム!!! 生ハムがなきゃシーザーサラダなんか食いたくねぇよ! 俺のハム!!」


騒がしい隼人を無視して、ソファーに置いてあった黒いサロンを腰に付けた。


“千草 麗桜”と書かれたネームプレートが付いているのを確認して、振り返る。


「早く食ってホール出ろよ、ハム野郎」

「一体俺に何個あだ名付ける気だよ!!!」


喚く隼人を鼻で笑って、スタッフルームを出る。



――さて。瑠雨が来るまで久々に、天然店員演じますかね。