天然店員は俺様王子




「あ、そういやもう1個」


拳を振るう俺から逃げ伸びた隼人は、幸福なことに賄いにありつけた。


「なんだよ」


サラダを食う俺に、隼人は口の端を上げて笑う。


「多分今日来るぜ?」

「あっそう」

「なっんだよ! 驚けよ!!!!」

「瑠雨だろ? ウェルカムですけど」

「つまんねー。もっとこう、は!?何でもっと早く言わねぇんだよ!!! ……的な反応を期待してたっつーのに」


まさか俺がそんなヘタレ隼人みたいな反応をするとでも?


そういや隼人って、彼女に会う前に髪型だの服だの香水だの確認しまくるもんな。


「俺はお前と違って常に完璧なんだよ」


ハンッ!とバカにした笑いをすると、隼人の頭に角が見えた。


「ちぃのバーカ!!! この鬼畜! 人でなし! 悪魔! イケメン!!!」


いやそれ最後褒めてっけど。


「別に俺は何時に来てもらっても構わねぇけどな」


「夜だよ夜! 9時ぐらいじゃねぇの? 今日翔太が入ってるダンスサークルのイベントに行くって透が言ってたし」


翔太のイベント……ってことは、いつものメンバーってことか。