天然店員は俺様王子



「今日は何? 透ひとり?」

「あのね〜、2年になって新しい友達出来たんだけどね? あ、同じクラスなんだけど! -mia-に行きたいって言い出してさ!!」

「ひとりじゃん」

「待ち合わせしてるの! 瑠雨、先生に呼び出されたから先行ってろって」

「るう? 変な名前」

「女の子らしくて可愛いよ! あ、瑠雨! こーこーだーよーっ!」


ぴょんぴょん跳ねて両手を振る透の先には、……どれだよ。


同じ様な格好をした女子高生がチラホラいてどいつが“るう”なのか全く分からない。


ただひとりだけ異様に目立つ女子高生がいた。


胸下まである真っ黒なストレートロングの髪に、金や赤、緑のメッシュを所々に入れている。


女にしては長身で、モデルみたいに細い。ダルそうに白いブレザーのポケットに突っ込んでいた片手を、不意に上げた。


「とーる」


え……こいつが“るう”なわけ?


「この子が新しい友達! 瑠璃色の瑠に、降る雨で瑠雨!! 綺麗な名前でしょー」


ああ。瑠雨、ね。