「一昨日、来たわよ」
「…………」
主語がなくても分かった。
一昨日、瑠雨が-mia-に来た。オッサンの顔を見れば、それは紛れもない真実。
「……あ、そ」
それだけ言って止まっていた手を動かすと、オッサンはわざとらしく首を傾げる。
「あら、聞かないの?」
……何で、とか、何しに?って?
「聞かねーよ。必要ねぇ」
パスタを食う俺に満足そうな視線を向けるオッサンは無視だ。
「ふふっ。すっかり復活ってとこかしらね? 隼人、今賄い作ってくるわ」
「ん、おお。よろしく」
隼人は出て行くオッサンの背中を見送ってから、俺に視線を移した。
「……気になんねーの?」
「何が」
「瑠雨が何で来たのか」
「どうでもいい」
――ってのは嘘であり、本心でもある。
気になるといえば気になるけど、どうでもいいっちゃ、どうでもいい。



