「逢いたい、恋しいって思うでしょう? 小さいことかもしれないけど、そうやって毎日過ごすことが大事だったりするのよ」

「…………」

「ほら。1枚あげるわよっ! どれがいいの」


手で写真をバラけさせて、馬場抜きみたいにあたしに差し出してくるオッサン。


少し悩んで、たくさんの麗桜の中からひとつの表情を選んで引き抜いた。



「……これでいい」


少し眉を寄せて、目を伏せて、唇を結んでるやつを選んだ。



不機嫌そうにも見えるけれど、泣きそうな麗桜の写真。



「……笑った顔の方がいいんじゃないの? 普通」


答えずに写真を見つめているあたしの耳に、オッサンの笑い声が届いた。


「ふふっ。まぁ、それは透タイプの女の子が向いてるわね」

「……どういう意味?」

「アンタ、レオと喧嘩したとして、家に帰って笑ってるレオの写真見たらどうする?」

「……破り捨てる」


だって喧嘩した後でしょ?


腹立ってんのに笑顔の写真とか、ビリッビリに破きますけど。跡形もなく。