天然店員は俺様王子


―――…


「ありがとうございました~! またいらして下さいねっ」


次の日の夕方、俺はいつものように-mia-で笑顔を振り撒いていた。


頬を染める客を店の外まで出て見送ると、遠くから見慣れた子猿……透が手を振っていた。


「ちっっっいくーーーん!!!」


その呼び方微妙。


「何だよ透。また来たの?」

「来ちゃダメだった!?」


目の前で立ち止まったチビの透はショックを受けたような顔をして、ちょうどいい高さにある頭を撫でる。


「俺のボーナスに繋がるからいいよ」


悪戯に笑ってみせるけど、透は嫌な顔ひとつせず歯を見せて笑った。


「なら良かった! これからも貢献するねっ!」


正真正銘バカだ……。


俺は透の前ではあまり天然ぶらない。なぜってクソヘタレ隼人がバラしたから。


それに無邪気というか素直な透には何となく嘘をつきづらい。



なけなしの良心が痛むってこういうことだと、俺は透のおかげで学べましたよ。