「レオは今日休ませたのよ。アタシはアンタが来るかもって思ってたからね」
「は………?」
オッサンは椅子から立ち上がり、あたしが座るソファーに向かって来た。
「レオは完璧主義で何でも出来るけど、心の整理くらい必要なのよ」
そう言いながらオッサンはソファーに腰掛け、向かい合うあたしに視線をよこす。
その瞳はどことなく、あたしを咎めている気がした。
「アンタが曖昧な態度を取るから、レオはどうすればいいか分からなくなったのよ」
「っそ……」
言いかけて、口を噤んだ。
……そんなつもりはなかったと言えないのは、あたしが曖昧な態度を取っていたと分かっているから。
あたしはキョウが好きだと言っていた。だけど麗桜に見惚れていたり、キスされても拒まなかった。
きっとそれが、麗桜を戸惑わせて悩ませて、苦しめたのだと言うには十分で。否定なんて出来なかった。
「レオはね、いつも俺様だけど本当はとっても優しい子なのよ」
そんなの、知ってる……。
口が悪くて態度だって悪いくせに、ふとした瞬間に見せる優しさが何よりも温かいのをあたしは知ってる。
「こんなこと第三者が言うべきじゃないけど、ふたりともバカ正直に見えて不器用だからね。教えてあげるわ」



