天然店員は俺様王子



「すっかり飼い猫ね」


「……はい?」


か、飼い猫……?


「瑠雨って、雑用係の時は仕方ないとして、そんな簡単に麗桜の言うこと聞く子だったかしら」

「…………」


黙って見つめると、奈々はフッと笑みを洩らした。


「きっと麗桜は、瑠雨の飾らないところに惹かれたんだろうって思うわよ? 野良猫みたいな瑠雨が、可愛いかったのよ。……私も瑠雨のそういうとこ、嫌いじゃないわよ」


そう言った奈々に続いて、透が身を乗り出してきた。


「瑠雨っ!! あたし、瑠雨の周りを気にしないで我が道行くとこっ! 好きだよ!!」


透を見上げると、ニコニコ笑ってる。奈々を見れば、微笑んでくれた。



……猫扱いされるのは気に入らないけど、我が道を突っ走ってみようか。




麗桜に逢いたいなら、逢いに行けばいい。


好きだと言いたいなら、伝えに行けばいい



きっとそれが、麗桜が好きになってくれた、あたしだ。