天然店員は俺様王子



麗桜は、ズルイ。


実習生としてこの学校に来てからというもの、毎日毎日うっとうしいくらい構ってきたくせに。


あたしが嫌がっても悪戯に笑ってたくせに、どうして逃げたのよ。


冷たくしてたくせに、何でカーディガンなんか渡してくるのよ。



好きだって言ったくせに、もう関わるなって言ったくせに、逃げたくせに。


最後の最後に優しくするなんて、アンタはやっぱり自分勝手な俺様すぎる。



ムカつく。嫌いだ。やっぱり麗桜なんて、嫌い。



それなのに、麗桜のカーディガンを着てきちゃったあたしは、バカだ。


麗桜の甘い香水が体中から香って、涙腺が緩む。


麗桜は華奢だからそんなにブカブカじゃないけど、やっぱり袖はあたしには少し長い。



「……っ」


透と奈々の視線を感じるけれど、あたしは袖で隠れた両手で口を覆い目を瞑った。


涙が落ちて、袖に吸い込まれる。


昨日いっぱい泣いたのに。涙は枯れると思ったのに。想いが溢れれば、涙も溢れるのか。



一体いつの間に、こんなに好きになったんだろう。近すぎて気付けなかったのかな。



……ねぇ麗桜……逢いたい。


まだ1日も経ってないのに、アンタが恋しい。