天然店員は俺様王子



「ここに来てから、レオずっと眉寄せてるわよ」


至近距離でフラッシュをたかれ、眩しさに目が眩んだ。


何勝手に撮ってんだ。金取るぞ。



「苦しいのね、レオ。……瑠雨を好きで、苦しいんでしょう?」


微笑んで俺を見つめるオッサンに、返す言葉が見つからない。


「いいのよそれで。格好悪くたっていいの、逃げてもいいのよ。……その逃げが、最後まで立ち向かう為のものならね」

「……」

「言ったでしょう。全身全霊、千草麗桜のままでぶつかりなさいって。いいじゃない、今のままで。レオ自身がどれだけ今の自分を否定したって、レオはレオでしかないんだから」



きっと最後のフラッシュがたかれて、オッサンは俺の頭を撫でた。



「うふふっ。可愛いわねぇレオったら! まだまだ子供なのねっ!!! 食べちゃいた……」


――バシィンッ!!!と、オッサンの頭を力の限り思いっきり叩いた。


「台無しじゃねぇかよ!!!」

「何よぅ! いつまでもジメジメしてたって仕方ないじゃないのーっ!!!」

「オッサンなんかに励まされたくねぇんだよボケ!!! んでヘタレは笑いすぎだっつーの!!!」

「げふぅっ!!」


ゲラゲラ笑ってた隼人にオッサンを背負い投げて、俺はハァッと溜め息をつく。