天然店員は俺様王子



そもそも俺がどういう店でバイトしてるか分かってんのか。


接客業だよ、お客様至上主義の-mia-だよ。



溜め息をつきたいのを我慢して、笑顔のまま残酷な言葉を言う。


「そっかぁ。ありがとう」

「えっ……」

「俺も君が好きだよ。お客様としてだけど」


俺とあんたに、スタッフと客以外の関係なんて作れるわけないだろ。


「君も、スタッフとして俺が好きなんだよねっ?」


俯いて何も言えなくなってしまった女子高生に近づいて、いつもバイト中こっそり客に渡す小袋に入った菓子を手に握らせた。


「また来てね? 待ってるから」


手に触れただけで真っ赤になるその子を置いて、俺は車に乗り込み走り出した。


「……めんどくせ」


あんないかにも恋に恋してるような、夢見がちの女子高生と付き合うとか想像しただけでゾッとする。


ニコニコして優しくて気取ってない、なんてそんなの猫かぶってるだけだっつーのに。


俺の仮面を見抜けもしない女なんて、願い下げですから。丸めてゴミ箱にポイですから。そのゴミ箱ごとサヨナラですから。


つかジョーク? ああジョークだな。


だから嫌なんだ。


ガキは、お断り。