駐車場に向かいながら、一週間ちょい通った学校を見上げる。
最初は瑠雨をただ手懐けたくて、跪かせたくて、大学の教授をたらし込むと同時に月にぃに頼んで、学校に潜り込んだ。
そこまでする意味なんて、ただ俺のプライドが理由だった。
気付けば瑠雨を、瑠雨が、瑠雨に……瑠雨のことばっか考えてて、いつの間にか好きになっていた。
「…………」
無駄に大きな溜め息をついて、同じく無駄なことを考えるのはやめた。
駐車場に着くと数メートル先に真っ青なスポーツカーがドンッと止まっている。
黒やシルバー、白の軽やワゴン車が並ぶ駐車場にただひとつ、目立ちすぎな俺の愛車。その異様な光景に、思わず苦笑いが出る。
ほんと俺、似合わねぇ教師なんかして、何やってたんだか……。
ジャケットのポケットから車のキーを取り出し、それを愛車に向けてロックを解除する。
ライトがパッシングされ、ロックが解除されたことを確認して運転席のドアへ向かった。
「――……!」
運転席に向かった俺の足は、ギュッと踏み留まる。愛車と誰かの車の間に、しゃがんで丸まっている人影が見えたから。
「な……」
何で、いるんだよ。



