「はー…………｣


無駄に長い溜め息をついた俺を、月にぃは横目で見てくる。


瑠雨が、泣いた。

あんなに強気な女が、泣いていた。


どうしてかなんて分からねぇけど、ブチ切れた俺を恐れたのか、西郡に言われたことが悲しかったのか……１番考えたくないのは、キョウが止めに入った瞬間に涙を流したってことだ。



瑠雨はキョウが好きだから止めてくれたのが嬉しかったんじゃねぇかって、あんな時に俺はそんなことを考えていた。


どうしようもなく瑠雨が好きだと感じたと同時に、この想いはどうしようも出来ないんじゃねぇかと感じていた。



瑠雨が俺に揺れたなんて淡い期待を持ってたけど、それすらも打ち砕かれた気がする。


カッコワリィ。情けねぇ。


俺がこんなに弱るなんて、普通に有り得ねぇ。


いつもなら、上等だって思うけど。瑠雨の涙を見たら、その理由を考えたら、どうしたってヘコむ。


恋は人を臆病にさせるなんてアホらしいと思ってたのに、今の俺にはピッタリ当てはまる。



キョウに敵う気が、しねぇ。