ニコニコ笑う奈々に、ガクガク震える透。


……そうだったんだ。じゃあ、奈々は透に毎日を楽しくしてもらったんだね。



「……ありがとう。みんな」


言った後で恥ずかしくなり、顔を背けながら足早に歩く。


「瑠雨スゥゥキィィー!!!!」


後ろから透に飛び付かれ、危うく転ぶとこだった。


「重いっ! ウザい!!」

「瑠雨が照れてるーー!!!」

「やめなさいよ透。見苦しい」

「ぶはっ!!!」

「ミグルシー!? トールのどこが!?」

「黙っといた方が身のためやで昴」



いつものようにみんなで騒いで笑って、あたしは優しい人たちに囲まれて幸せだ。


でも、頭の隅には麗桜がいて、麗桜の悲しい顔が頭から離れなかった。



帰りのHRが終わったら会いに行こう。



そう思ったのに、麗桜に会えることはなかった。


この日を境に麗桜の実習生としての生活は終わり……そして、俺様が消えた。