天然店員は俺様王子




「瑠雨、大丈夫?」

「キョウ………」


少し眉を下げて微笑みながらあたしを見下ろすキョウに、頷く。


「もう大丈夫だよ。奈々がとてつもない精神的ダメージを与えたからね」


精神的ダメージって……。


涙を拭いながら奈々を見ると、真っ黒いオーラを纏って妖艶に微笑みながら、西郡に詰め寄っていた。


西郡の顔は見るからに青ざめている。


「――な、奈々っ! もういいって!!!」


慌てて駆け寄ると、奈々はあたしをチラッと見てから溜め息をつき、再び西郡を見据えた。


「ホント、冗談じゃないわ。私の楽しみを奪う権利なんて誰にもないのに」

「先生ヤバいよ……奈々を怒らせたら命がいくつあっても足りないんだよ……」


さっきまで一緒に怒っていたはずの透まで奈々に怯えている。


「ほら行くわよ。野次馬がうっとうしいったらないわ」


奈々は黒い髪を靡かせて、西郡に目もくれず歩き出した。


「え、ちょ、奈々っ! 西郡に何言ったの!?」


透たちも歩き出した中で奈々の隣に駆け寄ると「そんなことが気になるの?」なんて呆れられる。